リング付きハンガーのトポロジー最適化解析
概要
電車内で荷物を載せる網棚は、下の写真のような部品(ハンガー)で壁面で固定支持されています。
電車がより多くの人や荷物を運ぶためには、ハンガーのような個々の部品も含めて車両の軽量化が大変重要です。
耐荷重性能を満たしつつ贅肉をそぎ落としたハンガーの形状を、トポロジー最適化で求めた事例です。
- 最大応力を制約条件として質量を最小化
- レベルセット法により最適化
技術情報
使用ツール
Ansys Workbench
SpaceClaim
キーワード
トポロジー最適化、密度法、レベルセット法
詳細
解析モデル
- 制約条件:最大応力 3.0[MPa]以下
- 目的条件:質量最小化
- 材料:構造用鋼
- 初期質量:1.48[kg]
- 減肉対象:フレーム部(リングと壁面取付部以外)
解析結果
形状と質量
- 質量:71[%]減 0.44[kg]
応力
- 最大相当応力<3.0[MPa]
技術コラム
トポロジー最適化(Topology Optimization)
トポロジー最適化とは、荷重など決められた設計条件下で、制約条件(例えば質量・応力・部材サイズなど)満たした上で、要求する性能(例えば軽量化)を最大限得られる構造・形状を求める方法です。
孔を空けるなど形態を変更できるため自由度が高いという特徴があります。
対象パターン、抜き方向、抜き勾配、空洞回避などの製造制約も設定できます。
レベルセット法
レベルセット法では領域の輪郭の曲線状態(収縮、膨張、曲率変化等)を偏微分方程式により表し、状態変化させながら必要な領域を判定する方法です。
曲線を変化させながら解くため滑らかな形状を保つことができます。
密度法(SIMP法)
有限要素のグリッドに領域を離散化します。 独立した各領域要素の密度を変化させながら必要な領域、除去する領域を判定する方法です。