Oリングの超弾性解析

概要

さまざまな製品で使われている円筒面固定用Oリングは、隙間からはみ出すと劣化するため、はみ出さないような条件で設計することが重要です。
本事例では、隙間からはみ出さない条件を求めました(強度解析事例)。

なお、汎用的に繰り返し検討できるように、各寸法パラメータを設定するだけで自動的に強度解析できるようにツールを開発した事例です。

  1. 『パラメータ』を使用したモデル化の自動化
  2. 『流体圧力食い込み荷重』を使用した圧力範囲設定の自動化
  3. 『アダプティブメッシュ』を使用したリメッシュの自動化

により、作業者によらず安定した結果を得られるようになりました。

『パラメータ』設定画面
強度解析した事例
円筒面固定用Oリング モデル概要図

技術情報

使用ツール

AnsysAPDLver2020R1

キーワード

超弾性、メッシュの非線形アダプティビティ、流体圧力食い込み荷重、自動化

詳細

1.『パラメータ』を使用したモデル化の自動化
2.『流体圧力食い込み荷重』を使用した圧力範囲設定の自動化
3.『アダプティブメッシュ』を使用したリメッシュの自動化

解析結果

解析ケースとパラメータ
圧力ーひずみグラフ
CASE01
CASE02
CASE3

事例は以上です。

付録

超弾性データの主な種類

Mooney-Rivlin

現象論的なモデルの 1 つであり、超弾性ひずみエネルギー密度関数の中で、最もポピュラーなものである。特に 2 パラメータモデルは頻繁に利用されており、引張りで 100%、圧縮で 30% までのひずみに適用できる。

Polynominal

Mooney-Rivlin と等価である。(入力の違い)

Yeoh

ひずみの第 1 不変量Ī1のみで表された式である。実際に大ひずみ領域ではĪ2 よりもĪ1が支配的であり、 300% のひずみまで適用することができる。限定された試験データ (たとえば単軸試験のみ) しか持っていない場合に、ひずみの第 2 不変量Ī2を除くことにより、一般的な変形モードに対してよりよい推定が可能である

Ogden

Mooney-Rivlin モデルと同様に、現象論的なモデルの 1 種であるが、ひずみ不変量ではなく、主伸長比をベースとして記述されている。これにより約 700% という大きなひずみ範囲を持つ材料試験データに対しても高精度でフィッティングすることができるが、計算コストが若干高めであり、用意できる試験データの種類が限定されている場合は、他のモードの挙動が非現実的なものになることがある。

Neo-Hookean

定数の数が少なく最も単純なひずみエネルギー密度関数であり、引張り/圧縮ともに約 30% までのひずみに適用できる。解析をスタートする最初の推定として利用するのに適している。

Arruda-Boyce

統計的な微視構造に基づいた分子理論から導かれたモデルの 1 つであり、約300% 程度までのひずみレベルに適用可能である。限定された試験データ (たとえば単軸試験のみ)しか用意できない場合でも材料挙動をよく表現できるが、定数が少ない固定された式であるため、複雑な応力-ひずみ曲線をフィッティングすることはできない。Gent

通常の第 2、第 3 ひずみ不変量によって記述される、圧縮性のフォーム材タイプのエラストマを模擬する最も単純な形式のオプションである。