複合材の剥離解析(JIS K 7086準拠)
概要
本事例では、剥離解析手法であるVCCT法・CZM法について、複合材の層間破壊靱性を評価する標準試験法であるDCB試験・ENF試験をそれぞれ模擬し実験結果と比較することで、解析手法による差異を比較・考察しました。
- 剥離解析手法としてVCCT法およびCZM法の比較
- 実験値との比較による解析の妥当性検証
- メッシュサイズの影響評価
技術情報
使用ツール
Ansys Mechanical APDL 2020 R2
キーワード
剥離解析、亀裂解析、 結合力モデル/粘着領域モデル法(CZM:Cohesive Zone Model)、 仮想亀裂閉口法(VCCT:Virtual Crack Closure Technique)、 DCB、 ENF
詳細
解析モデル
- JIS K 7086に定めるDCB試験、ENF試験を模擬
- 材料:APC2 (AS4/PEEK) 一方向材
- 要素サイズ:1mm
- 境界条件
- ENF:3点曲げ
- DCB:片端固定、切欠き端開口
解析結果
- DCB試験解析において、CZM法、VCCT法ともに実験結果の破壊形態を模擬することができました。
- CZMでは全般的に実験値より大きな荷重を示していますが、破壊強度や破壊エネルギーを実現象に合わせこんだり、メッシュサイズを調整することによって更に精度を上げることが可能です。
DCB試験
ENF試験
実験値引用元:日本造船学会論文集第173号「先進複合材料の損傷許容性評価に関する研究」
事例は以上です。
技術コラム
DCB試験(Double Cantilever Beam test)
破壊力学におけるモードI破壊靭性を測定する標準試験法です。貼り合わせた2枚の板を、開くように荷重を負荷することで、層間にモードI(開口)変形状態を与えます。主に積層構造を持つ複合材の層間破壊靭性測定に用いられます。
参考:一般社団法人日本機械学会 機械工学辞典、Structural Integrity and Durability of Advanced Composites, 2015
ENF試験(End-Notched Flexure test)
破壊力学におけるモードII破壊靭性を測定する標準試験法です。切欠きを設けた二重片持ち梁を3点曲げすることで、層間にモードII(面内せん断)変形状態を与えます。DCB試験に並び、主に積層構造を持つ複合材の層間破壊靭性測定に用いられます。
参考:一般社団法人日本機械学会 機械工学辞典、Structural Integrity and Durability of Advanced Composites, 2015
事例は以上です