ボルトの亀裂解析

概要

橋梁の上部と橋脚間の伸縮の吸収や耐震性を向上させる部材である支承(ししょう)について、XFEM(拡張有限要素法)を使用して締結ボルトの破断試験を再現する解析を実施した。

  1. XFEM(拡張有限要素法)を使った亀裂進展解析の実施
  2. 準静的な陰的動解析の適用
  3. 試験結果とのコリレーション
支承を用いた橋梁の例(単純桁橋)
ピン支承

写真引用元:ウィキペディア

XFEMを使った亀裂進展解析結果(塑性ひずみ)

技術情報

使用ツール

Abaqus2018、HyperMesh

キーワード

XFEM(拡張有限要素法)、亀裂進展、ボルト、準静的な陰的動解析

詳細

解析モデル

解析結果

実験結果と類似した位置、方向に亀裂が発生し、その亀裂によりボルトが切断されるまで解析が進むことを確認した。
収束が厳しくなったケースでは、準静的な陰的動解析に切り替えて実施した。

変位量Z(垂直方向、変形倍率1倍)
変位量X(水平方向、変形倍率1倍)
ボルト②
左から 実験結果写真/3D計測結果/解析結果
ボルト⑦
左から 実験結果写真/3D計測結果/解析結果

事例は以上です。

付録

XFEM

XFEMとは、拡張有限要素法(eXtended Finite Element Method)の略で、広義のメッシュフリー法の一つです。

有限要素法の変位関数に、亀裂などの不連続部を表す新たな変位関数を追加することで亀裂などを表現できます。これにより、拡張有限要素法をベースとした亀裂進展解析を使用可能になります。

XFEMの特徴として、メッシュモーフィングおよびリメッシングが不要であること、任意の方向に亀裂の進展が可能であること、初期亀裂のある有限要素モデルの構築が不要であることなどがあります。